前回は、自社の顧客分析とターゲット企業の選定という、BtoBマーケティング・営業領域の戦略立案に関する内容を中心にお話ししました。
今回は、法人リストの活用方法の中でも、より実践的なテーマを取り上げたいと思います。前回の内容から一歩進んで、具体的に法人リストを使って展開できる法人リード開拓手法についてお話しします。
前回記事はコチラ
DM起点で考えるBtoBマーケティング ‐ 法人リスト編
目次
前回も触れましたが、BtoBマーケティングの領域でも見込み顧客(各企業のサービス導入・購買担当)はwebコンテンツを介して情報収集をしています。株式会社日経リサーチが2020年5月に実施した調査では以下のような結果が出ています。企業間取引の購買、選定、決裁などを担当しているビジネスパーソン2,132人に各フェーズで重視している要素やコロナによる購買・情報収集の変化などについての質問と回答結果の集計です。
設問)業務上で取引先や商品・サービスを選定する過程で、何から情報を収集していますか。
出典:BtoB企業の購買プロセス調査.日経リサーチ,https://www.nikkei-r.co.jp/column/id=7307,(参照 2021-11-30)
企業の購買担当者にとって「その会社のホームページ」が最も重要な情報源であることが示されています。BtoB関連のアンケート回答ならではの傾向として、ほかにも「展示会イベント」や「営業担当者・従業員」「セミナー講演会」などのリアルの接点が重宝されていることも見て取ることができますが、これらはコロナ禍を受け昨年以降、急速にオンライン化が進行しています。
この記事をご覧いただいている方の中には、昨年から自社ウェビナーをやっている、担当者に任命された、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。当社でも昨年来、ウェビナー集客や営業支援策としてDMのご相談をお受けするケースが増えてきました。
ニューノーマル時代のBtoBマーケティングを支えるDMの役割
オンライン化・デジタル化が進むBtoBマーケテイング・営業活動において、法人リストを上手に活用することで集客や新規顧客開拓で大きな成果を上げる方法はないのか?
いよいよ本題に入ります。
突然ですが、自社のwebコンテンツ(ホームページ・ランディングページ・コラムなど)を閲覧した企業を可視化できることをご存知でしょうか。それもMA(マーケティングオートメーション)やSFAに入っている既存の取引先やリードだけではなく、新規の見込み顧客も含んだ形で、です。
見込み顧客企業担当者の自社サイトへのアクセスを可視化
技術的には、企業のIPアドレス※を含む法人データベースとGoogleアナリティクスなどのログ解析ツールのアクセスデータを突合させて、「いつ」「どの企業(の担当者)」が「どのページを見たか」をレポート上で閲覧可能にしています。具体的には、以下のような情報を取得することができます。
※IPアドレスとは…「ネット上の住所」と例えられることが多く、パソコンやスマートフォン、ネットワーク上のサーバーなどに割り振られ、インターネットを介した情報の発信元と受信元の特定に活用されています。住所と例えられる通り、基本的には公開情報です。
Googleアナリティクスで自社サイトの訪問企業名・住所・業種などを把握
個人名やメールアドレスを取得できているMAとは異なり、個人単位での特定はできません。また、企業が特定できるIPアドレスは全体の一部であり、自社サイトの来訪者すべてを把握することはできません。
当社の場合は、全来訪者のうち2~3割の企業を特定することができていますが、把握できる割合はサイトの来訪者の数や属性、集客施策の有無などによって異なります。
上の画面キャプチャではどのような項目を取れているか見ずらいかもしれませんので、csvでダウンロードした場合のイメージを載せておきます。
法人データ(IPアドレス+属性)×Googleアナリティクスのレポート例
IPアドレスと法人データベースの突合によって特定された「企業名」と「住所」はそのままダイレクトメールの宛先として活用できますし、「業種」や「閲覧ページ」を把握することでサイト訪問企業の属性やニーズを探ることができます。
ここまで、企業のIPアドレスと法人データベース、webサイトのログ解析を組み合わせてできることをご案内してきました。この機能の活用方法として、上述の通り大きく二つ考えられます。
・サイト訪問したがコンバージョンしなかった企業にだけDMを発送
* サイト訪問者数(IPアドレス適合企業のみ)-コンバージョン企業=DM発送対象企業
・サイトを訪問したがコンバージョンしなかった企業にアウトバウンドコール
* いつ、どのページを閲覧したかを把握しトークスクリプトを調整
・ディスプレイ広告でリターゲティング
* バナークリエイティブやランディングページの改善
・企業名 / 業種 / 事業規模などの属性から親和性の高い属性を把握
・ターゲット企業のニーズを閲覧ページから推測
・デジタルマーケティングで狙ったターゲット企業にリーチできているかの検証
サイト訪問企業の可視化データを活用するうえで重要なのは、機能のメリットとデメリットを理解してマーケティング戦略の立案と施策設計をすることです。この視点で法人データ活用の注意点をまとめると、以下のようになります。
・見込み客企業が自社サイトで、いつ、何を見たかを把握することができる
・今(もしくは直近で)自社に興味があるホットリードが分かる
・企業名だけではなく、業種や事業規模などの属性情報や、住所や電話番号などのアプローチに必要な情報も取得可能
・個人を特定することはできない
⇒ MAなどに溜まったリード情報と異なりメールアドレスなどと紐づかない
・可視化対象の企業は、大企業を中心とした一部に限られる
・法人リストベンダー(もしくはMAベンダー)支給のタグ設置が必要
アクセス企業可視化について、一長一短あることをお分かりいただけたかと思いますが、活用方法次第では短所を補って余りある機能と言えます。
ここでは、BtoB企業向けにDMサービスを提供している立場から、当社がおすすめするBtoBのマーケティング・営業活動ならではのチャネル横断型のリードジェネレーション施策として活用する方法をご案内したいと思います。
クロスチャネルでマーケティング効果を最大化する、言い換えると、BtoB企業が旧来から取り組んでいる法人宛てDMとアウトバウンドコールの組み合わせ施策の高度化になります。
プロセスは以下の通りです。
DM単体ではなく、サイト訪問企業への架電と組み合わせることで成果を最大化
施策のポイントとしては、
・最初からIPアドレスの突合をすることを前提として法人リストを準備すること
⇒法人リストベンダーとの調整
・サイト訪問企業のリスト化とコールセンター(架電担当者)へのタイムリーな共有フロー
などが挙げられます。
キャンペーン期間中の担当者の稼働も、DMとアウトバウンドコールを同時期に走らせるだけよりも増えます。しかしながら、このような取り組みをすることで、数万通のDM発送に対して2%ほどの架電でDM単体と比較して倍以上のリード獲得に成功している企業様もいらっしゃいます。
この方法であれば、従来のDMとアウトバウンドコールの併用における最大の課題である「いつ、どこに架電すればよいか?」というタイミングの問題を解決することができます。ターゲットのweb行動履歴に応じて、精度の高いホットリードにのみアウトバウンドコールをするので、案件化率が高まるとともに架電本数を減らせるというメリットもあります。
冒頭で企業担当者の購買プロセスにおいて、webサイトが重要な情報源になっている点に触れましたが、ABM(アカウントベースドマーケティング)の観点で自社が狙ったターゲット企業をDMからwebに誘導することができれば、まだ検索してくれていないターゲット企業もリード化することが可能です。
今回は、オンライン化・デジタル化が進行するBtoBのマーケティング・営業活動において、BtoB企業のwebサイトはターゲット企業との接点としてますます重要視されていること、自社サイトへの来訪企業をIPアドレスをキーにして可視化できること、同機能を活用してリード創出活動の成果を最大化できることなどを紹介いたしました。
最後に今回の内容をまとめてみます。
YDMが提供するBIZダイアログは、法人リスト抽出~DM印刷~発送をワンストップで提供するBtoB向けのDMサービスです。本記事で述べたwebサイトのログ解析を組み合わせたサービスや、DMのデザイン制作などもご提案しております。
新規見込み企業の開拓など、BtoBマーケティングでご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。