新型コロナの影響で、従来のような営業活動が困難になり、マーケティング活動に注力する企業が増えています。
とは言え、「展示会で名刺獲得~関係構築~受注~ルート営業」のようにリアルな接点を軸に営業活動してきた企業の中には、このタイミングでマーケティング部門を立ち上げたというケースも多く「マーケティング部門に異動になったが、畑違いでさっぱりわからない」「本を読んだり、セミナーを受けてみたけれど、結局何から手を付けたらいいのか分からない」と困っている担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本日の記事は、「コロナ禍ならではのBtoBマーケティング」という話ではありません。
より基本的な、マーケティング初心者の方がBtoBマーケティングを始めるために取り組む最初のステップについてお伝えします。
目次
そもそも、「マーケティング」とは何でしょう?
言葉はよく聞くけど何を指すのか、実はあまりよく分かってなかったりしますよね。Google先生に聞いてみると、「マーケティング」の定義に関する記事はたくさん見つかります。例えば、Wikipediaでは下記のように述べられています。
企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。
簡単に言うと、顧客へ自社の製品やサービスの提供価値を正しく伝え、購入意欲を高めるために行う一連の取り組みを指します。そして、これを実現するために、宣伝広告だけではなく様々な手法を用いながらマーケティング活動を行います。
このようにマーケティングの手法は様々ですが、どの手法から始めたらいいのかと考える前に、抑えておきたい大事なポイントがあります。
大事なポイントの前に、まずはBtoBとBtoCの違いを整理しましょう。
「BtoB」とは、Business to Businessの略で、企業間取引を意味します。一方で、一般消費者を対象にした商取引のことを「BtoC(Business to Consumer)」と呼びます。
このBtoBとBtoCでは、大きく違う点がいくつかあります。
BtoB | BtoC | |
意思決定者 | 多数 | 1人 |
サービスを利用した人 | 意思決定者とは別であることが多い | 意思決定者が本人であることが多い |
購入単価 | 高い | 低い |
購入までのリードタイム | 長い | 短い |
ターゲットの母数 | 少ない | 多い |
扱っているサービスによっても違いがありますが、おおよそ上記のように整理が出来ます。BtoBサービスの場合、顧客側の関与者が多いため、購入までのリードタイムが長くなることが特徴です。
従来の営業活動では、展示会での名刺交換や飛び込み営業などで接点を作り、信頼関係を構築し受注、その後はルート営業でさらなる受注を目指すというのが一般的でした。しかし現在では、インターネットの発達によって顧客自ら情報収集を行うことが容易になりました。そのため顧客の購買プロセスが変化し、営業マンが接触する前には既に購入サービスのアタリをつけてしまっているということが増えています。
そうなると、顧客が課題解決のためにサービスを導入したいと考えたときに、いかに自社の情報に触れてもらうかが重要となることから、BtoBマーケティングの重要性が高まっています。
「マーケティングが重要だということはわかった。早速何か施策を打たなくては!」と思った皆さん、ちょっと待ってください。具体的な手法を検討する前に、まず最初に取り組んでいただきたいことがあります。それが今日お伝えしたい大事なポイントです。
マーケティングで最も重要なのは、マーケティング戦略を立案することです。そして、戦略を立案するためには「誰に・何を伝えるか」を最初に考える必要があります。
ここをしっかりと整理することで、マーケティング戦略を立てることができます。そして、マーケティング戦略が明確になれば、どの手法を選ぶべきかはそんなに難しくありません。逆を言えば、「誰に・何を伝えるか」を曖昧にしたままいきなり施策に取り掛かると失敗してしまうということです。
それにも関わらず、現実には言語化できていない企業が意外と多く存在します。特にリアルな営業活動を主体とする企業では、明確なターゲット像を持たずに営業マンの勘所に任せている、なんてこともあるのではないでしょうか。
ターゲット像を整理するための手法はいくつかありますが、もっともメジャーな方法として「STP分析」を紹介します。
「STP分析」とは、
・Segmentation(セグメンテーション)
・Targeting(ターゲティング)
・Positioning(ポジショニング)
の頭文字をとって名前が付けられた、分析のためのフレームワークです。
セグメンテーションにより細分化された市場の中から、自社が狙うべき市場をターゲティングし、ポジショニングによって競合に対する自社の立ち位置を明確にすることで「誰に・何を伝えるか」を整理できます。
特定の基準(切り口)によって市場をカテゴライズする作業を指します。
いきなりカテゴライズと言われても、具体的にどのように分類したらいいか分からないと思うので、BtoBのセグメンテーションでよく使われる切り口をいくつかピックアップしてみます。
上記以外にも色々ありますが、このように複数の切り口で市場をカテゴライズしていきます。
次に、セグメンテーションによってカテゴライズされた市場の中から、自社が狙うべき市場を絞り込んでいきます。
セグメンテーションとターゲティングは、ターゲット像を明確にするためにセットで使われます。2つの違いが分かりにくいかもしれないので、市場を細分化するのがセグメンテーション、細分化された市場から絞り込むのがターゲティング、と覚えると良いと思います。
例えば、サービス業向けの労務管理システムを提供している場合、
・飲食業
・売上100億円以上
・従業員数300名以上
・人事総務部門の部門長
をターゲットというように絞り込みをしていきます。
ここまでで、「誰に、何を伝えるか」の「誰に」が決まりました。
ターゲットが決まったら、「何を伝えるか」を考えていきます。
ポジショニングによって、設定したターゲット市場の中で競合と自社の差別化を明確にし、どの立ち位置を目指すかを決めます。この作業を行うことで、自社サービスの提供価値が明文化され、「何を伝えるか」を考える拠り所になります。
ここで重要なのは、自社と競合の特性については、顧客目線で考えるということです。ターゲットが、どのような観点でサービスを選定するのかという視点が欠けてしまうと、競合との差別化が曖昧になり、顧客からは同じようなサービスとして認識されてしまう危険があります。
ポジショニングの方法として、ポジショニングマップという任意に設定した縦軸と横軸の2つの軸の中に、自社と競合の立ち位置をマッピングする方法があります。
先ほど事例に挙げた、大手向けの労務管理システムであれば、
・価格
・利用可能な打刻手段の数
・シフト作成機能の有無
・多言語対応の有無 など
顧客から見た際の、購入の決め手となるポイントや、競合との差別化が生まれやすい軸を2つ選び、マッピングを行います。
複数のサービスを展開していてそれぞれターゲットが違う場合は、サービス毎にSTP分析を行いましょう。
改めて、本日の内容を整理しましょう。
BtoBのサービスは、購入単価が高く検討期間も長くなるため、「誰に、何を伝えるのか」を整理した上で適切なマーケティング戦略を立てましょう。そして、それぞれのターゲットに適した情報を伝えることで、顧客の興味関心度を高めていきましょう。
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